北天満サイエンスカフェ
北天満サイエンスカフェは、天五中崎通り商店街(おいでやす通り)で行われている、まちづくりと地域活性のための
プロジェクトです。お茶を飲む気軽さで、科学者と一般の皆さんが議論・交流する場を提供しています。


お知らせ

2023.5.8
第167回北天満サイエンスカフェは、商店街アーケード路上で開催します!

次回のサイエンスカフェ

第167回北天満サイエンスカフェ

南極観測から分かること

日時:6月4日(日)14時~16時

ゲスト:上村剛史さん(第46次南極地域観測隊員・同志社国際高校)

会場:天五中崎商店街(黒崎町交番付近)



日曜日は緩やかに、商店街でおいしい食事を楽しんで、
商店街アーケードのサイエンスカフェで知的な対話を。
予約不要・参加無料

こども面白サイエンスカフェ・オンライン

面白実験をいろいろ紹介します。

前回のサイエンスカフェ

第166回北天満サイエンスカフェ「生物進化の宝石箱 ボルネオ島の森」
5月7日、大型連休最終日はあいにく終日雨となりました。この天候もあって、商店街の人通りはいつもの休日よりは少なく、早めに店じまいする店舗も。それにもめげず、商店街のサイエンスカフェはいつものように、アーケードを会場に元気に開催されました。今回のゲストは、石崎雄一郎さん。ボルネオ島の熱帯林の保全活動を続けてきた「ウータン・森と生活を考える会」の事務局長です。

石崎さんは、太陽系の惑星として誕生した地球の歴史を辿り、地球は生命によってつくられた惑星であることを強調しました。それについで、生物進化1億年の歴史を辿ることができるというボルネオ島の森の生態を紹介。ちなみにウータンとは現地の言葉で森という意味です。その森の特徴は生物種の圧倒的な豊富さ。石崎さんは、生き物クイズで、ボルネオ島の固有種テングザルの鼻の穴の場所や、サイチョウの名の由来と暮らし、様々な昆虫の驚くような擬態、森を滑空する種子などを紹介してくれました。ところが近年、大規模な森林伐採・皆伐で、高木の洞に巣をつくるサイチョウは住処を奪われ、絶滅の危機にあるとのこと。



さらに、森を一歩出るとそこには広大なアブラヤシ畑がひろがっています。そこは単一の植物が規則的に植わっている世界で、森とは対照的に、極端に貧困な生態系となっています。アブラヤシの実は、農場に隣接された工場で搾油されてパーム油として出荷、輸出されます。日本ではその廉価なパーム油を原料に様々な加工食品が造られ、私たちの日常生活に浸透しています。この安いパーム油を採算が取れるように生産するためには、分散した小規模な畑ではだめで、広大な畑を切り開かねば成り立たないということも紹介されました。

第2次世界大戦後、フィリピンやインドネシアの熱帯林は伐採され続け、廉価な南洋材として日本に輸入されて、建設現場などで消費されてきました。今日フィリピンやインドネシアの森林被覆率は日本をはるかに下回るまでになっています。石崎さんは手軽で安く手に入る商品で支えられてきた私たちの生活は、それらに本来払われるべき対価の支払いを生産地の人々や自然、未来の世代に押し付けていると強調しました。

石崎さんは、買い物をするときに、それらの商品がどこでどのように作られたのかに思いを馳せることから始めて、私たち自身の生活の在り方を見直す必要があるのではないかと問いかけました。世界中どこに行っても、同じ材料で作られたハンバーガーを同じ値段で食べることができることが、はたして本当に豊かな生活なのかを考えるべき時代になったのでは?

今回のサイエンスカフェには、ボルネオに行ってみたいという女性や、ダイビングのためにボルネオに行ったことがあるという男性など、通りがかり方々も参加。商店街ならではのサイエンスカフェになりました。次回もお楽しみに。

第165回北天満サイエンスカフェ「こども面白サイエンスカフェ30」
ついに、こども面白サイエンスカフェが商店街に帰ってきました。
商店街にも徐々に人通りが回復し、穏やかな春の日差しの下、第30回目となるこども面白サイエンスカフェが開催されました。



7人の理科の先生たちによる、虹色マジック、力学マジック、磁石マジック、音波マジック、化学マジックなどが披露されました。商店街には、参加者の歓声が響き渡り、子どもたちは、マジックでつかった道具を一生懸命作りました。大人たちは、マジックのからくりの説明に納得、連休中の子どもたちとの対話の材料を得て、今度はいつですか?と帰って行きました。





こども面白サイエンスカフェは、新しい科学マジックを用意して、また開催します。お楽しみに。

第164回北天満サイエンスカフェ「ゲノム編集 産業利用が始まった」
すでに桜は開花しましたが、あいにくの肌寒い雨。サイエンスカフェはオンラインで開催しました。テーマはゲノム編集で、小早川義尚さんに話題提供していただきました。



生物の遺伝子の分子構造と遺伝情報の仕組みが分かったのが20世紀の半ばでした。それから生物の進化や発生の仕組みを明らかにするために、遺伝情報をコードしたDNAを操作する様々な手法が開発されてきました。特に2020年ノーベル化学賞のCRISPR/Cas9は、非常に使いやすい方法であったために、生物学の研究手段として大いに普及しました。

同時に、その技術を植物や動物の特定の遺伝子をノックアウトして、突然変異体を人為的につくり、人間の期待する性質をもった生き物として商品化することも始まっています。GABAを増強したトマト、筋肉を肥大化させたタイ、食欲の抑制を外し急速に大きく成長させたフグなどが既に売られています。

日本では、ゲノム編集生物を商品化することは、他の生物の遺伝子導入がない限り、自然に起こる突然変異と同じと見なして、届け出るだけで良いことになっています。

しかし、ゲノム編集が本当に狙った遺伝子だけを壊しているのかを確認することは容易でなく、その保証もない。「編集」という表現が雑誌や本の編集者の意のままの編集を連想させるので良くないと小早川さん。

ゲノム編集の応用で注意せねばならないのは、ヒトの生殖への応用、動植物の場合に野生化したときの生態系への影響、食品等の場合に毒性の発現です。日本では、今のところゲノム編集動植物は大学発ベンチャーとして産業利用されています。大学での研究や教育のあり方も話題になりました。軍事研究に結びつく危険も指摘されました。

インシュリンやヒト成長ホルモンが大腸菌の遺伝子組み換えによって生産されています。ゲノム編集に限らず、今日既に遺伝子操作は人間に多くの恩恵をもたらしていいることは否めません。小早川さんは、情報の公開と市民と研究者の日常的な対話が必要であると強調しました。

…(前回以前の記録)