• 第53回「最新・脳の話-五感の機能を鍛えよう!-」

    Date: 2012.11.06 | Category: 未分類 | Tags:

    10月29日は年に一度の「北天満秋のコラボレーション」の日。コーラスや子供たちのソーラン節の発表などがあり、いつもよりも多くの人でにぎわっていました。

     

     

    そんな秋の日の北天満サイエンスカフェ。今回のお題は「最新・脳の話 ―五感の機能を鍛えよう!―」。話題提供は藍野大学で脳の研究をされている外池光雄さんです。

     

    まず最初は、図を使って脳の各部位の説明をされました。

    「脳は4つの部位に分けられます。1つ目は前頭葉で視覚を司ります。」

    カラーのプリントに載っていたのは専門用語がちりばめられた図ですが、分かりやすく説明してくださいました。

    それによると、脳は場所によって、前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉に分けられます。後頭葉が視覚を司り、側頭葉が聴覚を司る、など各部位で役割が決まっています。

    また脳は表層部分、中層部分、深層部分、と分類することもでき、それぞれ新皮質、辺縁系、旧皮質と呼ばれます。旧皮質は爬虫類の頃から生物が持っている脳ですが、新皮質は人間などの高等な哺乳類の時に発達した部分です。

    「脳の奥、『爬虫類の脳』を研究していくことが、今後の脳科学の課題ですね。」

    爬虫類の脳である旧皮質は脳の深いところにあるため、なかなか研究が進めにくいそうですが、生物として昔から持っている部分なので、ここを調べることはとても重要そうです。新皮質は意識と関係がありますが、旧皮質は無意識と関係があるかもしれない、と外池さんの探究心は尽きません。

     

     

    話題は感覚の話に移ります。

    「私たちは目や耳でものを感じていると思いがちですが、実は脳で感じているのです。この図を見てください。」

    そう言って先生が取り出したのは一枚の渦巻きの絵。目がちかちかします。

    「実はこの絵、渦巻きではなく、円が並んでいるだけなんです。これはどうでしょう。真ん中の円が回転して見えませんか?このように実際とは違って見えることを錯視といいます。」
    お客さんもスタッフも、数種類の図をしばし見つめます。「ああ~」という納得や驚きの声があちこちから上がりました。図を見つめ不思議がるお客さんを見て、うれしそうな外池さん。

    「またこういう現象もあります。目が見えないはずなのに見えている、盲視という現象です。見るための神経が損傷しているにもかかわらず、通常とは違う脳の神経回路を通って信号が伝わり、“見る”ことができた人がいたそうです。」
    SFのような話に一同驚き、質問が相次ぎました。

     

    さらに、「共感覚という現象もあります。1つの感覚が反応すると、他の感覚も反応してしまうという現象です。例えばaという文字を見たとき、文字が赤く見え、他の文字は違う色で見える、という人がいたそうです。芸術家にはこの共感覚を持っていた人が多いのではないかと言われています。」

    これも面白い話です。人によって全く違った世界を見ている(感じている)かもしれないなんて不思議ですね。

    身近な錯視の話から、SFのような不思議な話まで多彩な話題に、会場からは質問が飛び交いました。

    「感覚は、使わなければどんどん鈍っていきます。ですが使うことで感覚は成長します。」

    と外池さんは最後におっしゃいました。

     

    これからも(これからは?)頭を使っていきたいと思いました。

    最後になりましたが、お越しくださった方々、外池さん、商店街の方々ありがとうございました。(Y..W)